ごった

色々書きます

 


物語がどうにもこうにも頭に入らないなか、年の改まって最初に読み終わった作品はこれでした。今回図書館で借りたけど、単行本や文庫版は定価じゃもう売ってないのかね?

もはや規範や境界は崩れてきているので、こういう作品はもう生まれないんだろうな。心の中の異性だとか、自分の欠落感だとかそういうの......。

ヒーローが精神的にも実年齢もヒロインより幼くて余裕のない設定が新鮮だった。年齢差がいいポイントになって、遠慮しいと真っ直ぐすぎるとかの対称性が際立つ気がする。でも二人に本当は二歳の差はないことが中盤に分かるのも差異の縮まりや変化の現れのようでよいなあと思った。親に愛されたい気持ちや不器用さとか二人は似たところもある。
2人の家族の性質は逆なところも面白いよね。家族のことで言えばアキラが「俺の親父を信じてくれよ」と繰り返し言ったのが妙に印象に残ったな。仲津川には家族が出てこないのはもう大人だからなのかな。

可奈子が醜さや負い目を持つのも良かった。善人で綺麗なだけじゃないから、人との交流で成長できるし物語になって、リアリティとフィクションのぎりぎりにいけるっていうかね。

ちょくちょくある笑いがちゃんとシリアスな空気を和ましているのがすごいなあ。おかげでぐずぐず腐ったり切れたりする前にどこかへ澱みは流されていく感じがする。笑いの生まれ方って謎なだけに本当に感心した。

スラダンみたいなキャラ付けだなーと思ったけど(名前や学校名)、この作品の方が早いみたいで大変失礼なことを思ってしまった。ケンカやバイク……80年代の若者ってああいう感じだったのかな。このころの漫画の情緒や空気はいいなあ。